はじめに

 ほんナビでは、大阪国際児童文学振興財団が選んだ、子どもに是非読んで欲しいお薦めの本をご紹介しています。
 子どもに読んで欲しい本を選ぶにあたっては、長く読み継がれるであろう本と、現代を反映した本の両方がバランスよく選書され、また普段から読書に親しんでいる子ども、あるいはそうではない子どもの、その両方の読書意欲を満たす選書を行う必要があります。
 その選書方針を以下に記します。


 全体的な選書方針

  1. 絵・ストーリー等の内容の完成度が高いこと。
  2. 内容にオリジナリティーがあること。
  3. 内容に差別的な部分や過度に暴力的な部分、誤りがないこと。ただし、過去の作品で現在とは異なった差別意識のもとに創作された作品については、作品としての価値と差別的な部分をあわせて考慮する。
  4. 子どもの人気・評価も考慮に入れる。
  5. 各資料の選書方針の詳細については、以下を基準として選書する。

 読み物

 子ども向けの読み物は、児童文学作品の中でも重要な位置をしめている。 物語・詩・伝記・脚本等ジャンルも幅広く、質・量ともに児童文学の中心的な資料である。
 その際の選書基準は以下のとおりとする。

  1. 物語は小学校低学年向け・小学校中学年向け・小学校高学年以上向けに分けて選書する。その際、それぞれの対象にふさわしい内容・表現・長さであることかどうかを考慮する。
  2. 日常的物語・空想的物語・昔話等の様々なジャンルや学校物語・冒険物語・戦争物語等の様々なテーマにわたってできるだけ幅広く収集する。
  3. 低学年向きの物語においては、挿絵の効果も考慮する。
  4. 物語では、現代の子どもの興味をひく内容かどうかを考慮する。
  5. 物語の登場人物が魅力的なキャラクターであること。
  6. 物語では、ストーリーに破綻がないかどうか、展開のおもしろさがあるかどうか等を考慮する。 
  7. 詩は、内容のおもしろさとともに、ことばのリズム・響きの美しさや楽しさ等についても考慮する。
  8. 童謡・児童詩・少年少女詩等様々なグレードを対象とした詩、また様々なテーマの詩をできるだけ幅広く収集する。
  9. 伝記の内容については誤りがないかどうかを考慮する。また、過度に対象人物を美化するのではなく、一人の人間としての全体像を客観的に描いた作品を選ぶ。
  10. 伝記については、取り上げられることの少ない人物を取り上げた作品は優先的に収集する。
  11. 脚本は実際の上演に向くかどうかを考慮する。また、対象学年はできるだけ幅広くそろえる。

 絵本

  1. 絵と言葉で構成される絵本の特性を充分に活かしていること。
  2. 絵と言葉それぞれの表現に必然性があり、一体化して物語世界を形作っていること。
  3. 絵と言葉が、対象年齢のこどもに充分に理解できる表現であり観念的・抽象的でないこと。
  4. 物語は首尾一貫しており、結末が違和感を感じさせたり中途半端でないこと。
  5. ページをめくることにより物語が展開する絵本の特性を活かしているもの。
  6. 表紙から裏表紙までひとつの作品として完成していること。
  7. 日本語の語感やリズムをそこなわない、音読してわかりやすい文章であること。
  8. 絵が、作品にふさわしい表現スタイルを選択していること。
  9. 装幀、版型、サイズ、紙質等が、充分に考慮され選択されていること。
  10. 絵と文字の配置と構成が、配慮されていること。
  11. 多様なテーマ、多様な表現のものを幅広く収集するとともに、取り上げられることの少ないテーマや表現スタイルは積極的に選書する。
  12. 仕掛け絵本については、仕掛けの楽しさや面白さを充分に生かし、仕掛けを取り入れることが、絵本表現として必然性のあるものを選書する。

 科学読み物

  1. できるだけ幅広いテーマのものを多様に収集する。
  2. 知識を得ることによる喜びを感じさせる、読んで楽しいものであること。
  3. 情報が正確で、誤った記述がされていないこと。
  4. 最新の情報や学説や理論を幅広く取り入れていること。
  5. 対象年齢に応じた記述がなされ、説明がわかりやすいもの。
  6. 写真や図版・図解を取り入れたり、イラストやレイアウトの考慮など、読みやすい工夫がなされているもの。
  7. 実際に実験したり行動したりすることを想定して、その検証と配慮ががなされていると思われるもの。
  8. こどもたちの関心の高いテーマは、幅広く多様な本をグレード別に多数取り揃える。
  9. 類書の少ないものは優先的に選書する。
  10. 目次、索引、参考文献が用意されていること。